無題
深夜、静けさの中に私自身が存在している事を
胸の音。吐息。外界から脳へと直接入ってくる空間で認識する。
早熟とは。
愚者か賢者か。
そんな事を考えていると彼はこう言うだろう。
「何をそんな無駄な事を考えているんだ?」
「そんな事考えてなんになる?」
そんな抑揚の激しい言葉に安心を覚える
彼いわく、天才の唯一の欠点は目立ちたがることだ。と
彼女いわく、異常者は退屈に耐えられないの。
だからきっと彼は何か触れてはいけないものに触れてしまう。
彼女は彼の事が嫌いらしい。
この空虚な空間で、ひっそりと息を殺して脳内へと侵入する。
何故私は存在するのか
何かを悟る。
生きてゆく上で楽しみを見いだせなかった者は皆等しく愚者なのだろうか。
私はそうは思わない。きっと思いたくないのだと思う。
他者が何をそんなに頑張っているのかが分からないのだけれど、私はそういう人間を素晴らしい。美しいと感じる。
私は何者であってどう生きてゆけばいいのだろうか
そんな事を考えていると気付けば脳外へと放り出されていた。
きっと彼は怒っているに違いない。
我思う、故に我あり。